舌がピリピリ痛むのに、炎症も腫れもない。一見して異常が見当たらず、医師にも「気のせい」と言われ、いったいどこで診てもらえばよいのか。そんな舌の不快感は「舌痛(ぜっつう)症」かもしれない。専門医を訪れる患者の中には、何年にもわたって医療機関を転々とした人もいるという。この「舌痛症」、どんな病気?。(津川綾子)
◆患者の8割は女性
「舌痛症」は、舌の先や縁などがピリピリと痛んだり、やけどしたような感覚などが慢性的に続いたりする病気だ。最初は歯科医や内科医に駆け込むが、「舌のただれや傷など見た目の異常は何もない。そのため、歯科や内科では『気のせい』『性格の問題』と取り合ってもらえないことがある」と、「舌痛症」の治療を行う東京医科歯科大学大学院(東京都文京区)の豊福明教授(歯科心身医学)は話す。患者は8割が女性を占める。特に40代以上の中高年の女性で真面目できちょうめんな人が多いという。
しかし、「舌痛症」の診察や治療が可能な病院は豊福教授がいる同大歯学部付属病院の「歯科心身医療外来」などまだまだ少ない。投薬治療が中心
今のところ原因は不明だ。ただ、脳内の神経伝達回路に電話の混線にも似た“誤作動”が生じ、刺激がないのに痛みを感知するのでは、との説がある。
治療は鎮痛効果がある抗鬱(うつ)薬を使うのが一般的で、「慢性疼痛(とうつう)などに効く『アミトリプチリン』などを服用すれば、1カ月後には痛みの程度が7割ほど和らぐ」と豊福教授。ただ、口の渇きや眠気、便秘などの副作用が出やすく、投薬は慎重に行われる。そのため、当初は週に1、2度といった頻回な通院が必要だ。ひとたび治れば、基本的に再発はないという。
ただ、子供の受験が終わったり睡眠不足になったりした直後、舌の痛みが悪化することもあるという。少なくとも生活習慣で、(1)疲れをためない(2)夜更かしなど生活リズムを乱さない−などに気をつけることも大切だ。
豊福教授は「中高年の場合、何らかの不調で他の病院に通院していることがある。飲み合わせや既往症にも注意が必要で、かかりつけの医療機関から紹介状をあらかじめ持ってくれば、すぐに治療にかかりやすい」と、受診の際の心掛けをアドバイスする。
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■「歯科心身医療外来」「口腔(こうくう)内科相談外来」などで診療受け付け
「舌痛症」など舌の痛みはどこで診てもらえばよいのか。東京医科歯科大学歯学部付属病院(東京都文京区)の「歯科心身医療外来」のほか、北海道医療大学病院(札幌市北区)の「口腔(こうくう)内科相談外来」では、投薬による治療に認知行動療法を組み合わせ、痛みからくる憂鬱(ゆううつ)感を和らげる治療にも当たっている。
また、久留米大学医学部歯科口腔医療センター(福岡県久留米市)などでも治療に当たっている。
日本歯科大学付属病院「心療歯科診療センター」の小川智久センター長(心療歯科)は「口は最も敏感な感覚器。舌痛症のほか、口や舌が乾く『口腔乾燥症』(ドライマウス)だと、ちょっとした傷がつきやすくなり、その痛みが気になることがある」と指摘する。
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